長距離伝搬型表面プラズモンポラリトン導波路による プラズモニック量子ウォーク回路の試作

20191211

日本大学量子科学研究所 井上修一郎

 金属ナノ構造体と誘電体の界面に光を入射すると,界面に表面プラズモンポラリトン(SPP)が誘起されます.このSPPはオーミックロスによる伝搬損失を受けますが,長距離伝搬モードでは数cmの伝搬が可能です.本研究では,長距離伝搬型SPP(LR-SPP)を誘起できるAu(幅8μm,厚さ20 nm,長さ5mm)をコア,誘電体ポリマーをクラッド(上下厚さ20μm)とした導波路を用いて量子ウォーク回路を試作しました.試作回路はLR-SPP導波路51本が間隔2μmで配列されており,隣接する導波路間の結合長は100 mm程度です.光ファイバにより中心導波路に励起されたLR-SPPは隣接する導波路への結合と干渉により導波路を伝搬して行きます.観測されたLR-SPPの導波路端での強度分布は,量子ウォークに特徴的な弾道的広がりを示しました.この結果は,対称連続1次元量子ウォークが高忠実に実現されていることを示しています. 今後,LR-SPP導波路プラットフォームの3次元格子構造化や孤立電子系との組み合わせにより,既存フォトニックチップでは困難な機能や性能を有する量子演算回路プラットフォームの実現を目指します.

N. Namekata, R. Kobayashi, and S. Inoue, “Experimental demonstration of plasmonic quantum walk in one-dimensional gold-strip waveguide lattice structure,” in preparation.