重点研究テーマ

スピン・電荷(A01)

電荷スピン班では、ハイブリッド量子科学で活躍する様々な量子の中で電荷とス ピンに着目します。電荷には電子の素電荷だけでなく超伝導のクー パペア、ス ピンには電子のスピンだけでなく核スピンも含みます。電荷とスピンを量子的に 制御する技術の開発を行うとともに、他の量子(フォト ン、フォノンなど)と の相互変換(量子トランスデューサ機能)を可能とする相互作用メカニズムの探 索を行います。それにより、電荷・スピンに 加え、他の量子も加えた小規模量 子系を実現し、極限量子計測技術などへの応用をすることによりQuantum Enabled Technologyの推進に寄与したいと思っています。電子、スピンが他の量 子と協奏し、量子的に最も活躍できる場を与えるため、伝統的な半導体だけで なくカーボンナノチューブやグラフェン及びそれらのナノ構造を取り上げ、材料 的な観点からも研究を行います。

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フォトニクス(A02)

近年、量子高感度計測、量子光源、量子プローブ、量子高機能デバイス、 量子シミュレータなどを目標にするQuantum Enabled Technology(QET)の研究が世界レベルで急速に進展しています。特に、固体内の量子情報を遠方に伝送する ために、フォトンとその他の物理量(電荷・スピン、フォノンなど)との相互作用の解明と制御は極めて重要です。フォトン班では、固体・ フォトンの相互作用の解明とその制御に関して、ナノギャップ電極による単一分子計測、ダイヤモンドNVセ ンターの物理と応用、3次元的に積み上げられたカイラルフォトニック結晶の実現、量子ドットの集団励起を用いるコヒーレント相互作用な ど、他に類を見ないユニークな取り組みを行ってきています。本新学術領域では、班内・班間の共同研究を通して、このような独創的な取り組 みをさらに発展させ、テラヘルツ単一分子制御、単一光子発生と検出、単一スピン・電荷計測、量子中継技術など、QETの基礎を内外に先駆けて実証して行きます。

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フォノニクス(A03)

フォノン班では、固体における弾性振動の量子である「フォノン」と他の量子系とのハイブリッド量子系の実現を目指します。昨今、micro/nano-electromechanicas やoptomechanicsなど、微小な三次元人工構造の弾性振動を電気的あるいは光学的に制御しようとする試みが盛んに行われています。このような弾性振動は量子力学的には閉じ込められたフォノンとして捉えることができ、電子やスピン、フォトンなど他の量子系と組み合わせることにより、その量子力学的な性質までをも制御できる可能性が示されています。一方、エンジニアリングの分野では固体の熱伝導を支配するフォノン伝搬の重要性が高まっており、いわゆる「フォノンエンジニアリング」技術として、フォノンの伝搬、さらには熱伝導までをも制御しようという試みが行われています。フォノン班では、このように昨今重要性が高まりつつあるフォノンと他の量子系との相互作用をハイブリッド量子科学という基礎科学の立場から解明し、その革新技術への応用を探っていきます。

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理論(A04)

理論チームは、ハイブリッド量子科学の進むべき方向性を、一丸となって解明します。第一の課題は、ハイブリッド量子系をどのように構築し、どのような新奇現象や新しい機能を生み出すかについての理論的指針を明らかにすることです。数理的なエッセンスと具体性を融合させた視点から実験提案を行い、実験グループと協力しながら新しいハイブリッド量子科学の推進に貢献します。また量子的科学技術の発展には、基礎科学に「システム」の考え方を融合させることが優れて効果的です。これにより、Quantum Enable Technologyへのダイナミックな展開や、高い拡張性と高スケーラビリティを持つ量子技術の基礎構築につなげていくことができるでしょう。
また、これまでになく複雑な量子系である「ハイブリッド量子系」を、量子的に正しく取り扱い、新しい現象や機能を取り出すためには、常に新たな解析方法を生み出していかなければなりません。材料・デザインなどの実験計画から実験結果の解析まで、理論チームは量子的な研究開発に不可欠な新しい解析を提案し、実験チームを支援します。

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ハイブリッド化の加速とハイブリッド量子科学の基礎の創成

これら4つの重点研究テーマをそれぞれの研究チームが担いながら、公募研究によって新しい共同研究を加速します。これら重点テーマを中心にしたハイブリッド化に留まらず、新しい可能性を拓く材料研究も、ハイブリッド化を支える研究として重要です。一見違った分野に見えても、重要な関連性をもっていることが多くあります。これら背景の異なる専門性が、ハイブリッド量子科学のもとに一同に介し、共通の大きな目標に向かって挑戦することで、量子科学・技術にブレークスルーをもたらすことを目指します。

研究会や領域会議は一般公開しているものも多数ありますので、共同研究に興味のある方は、是非メンバーに一声お掛け下さい。