非線形測定に基づく2モード機械振動子の雑音圧搾

2020.3.23

NTT物性科学基礎研究所 浅野 元紀、山口 浩司

機械振動子には複数の振動モードが内在しますが、これらは熱揺らぎによってお互いに独立かつランダムな運動をします。我々は、光による非線形測定を駆使した新たな雑音圧搾手法を提案し、その実証実験に成これらのランダムな運動の間に相関を与えることができれば、熱揺らぎに起因する雑音を圧搾することが可能となり、機械振動子を用いたセンサ応用や情報処理に有用であることが知られています。我々は、光による非線形測定を駆使した新たな雑音圧搾手法を提案し、その実証実験に成功しました。これまでは、2体振動子間の疑似角運動量を和周波信号に対応する駆動力によって配向させることで雑音圧搾を実現してきました。我々は、この駆動力の代わりに機械振動子に対する非線形測定を行うことで疑似角運動量を直接観測し、その結果をフィルタリングすることで雑音圧搾が可能であることを明らかにしました。実験では、104程度の高Q値を示す窒化シリコン機械振動子を作製し、2つの振動モードに対して2次の光機械変換信号をフィルタリングすることで雑音圧搾に成功しました[1]。本成果は、駆動力を必要としない測定主体の振動子制御や、非線形測定で得られた情報に基づくフィードバック制御など新たな振動子制御技術への発展が期待できます。

[1]M. Asano, R. Ohta, T. Aihara, T. Tsuchizawa, H. Okamoto, and H. Yamaguchi“Optically probing Schwinger angular momenta in a micromechanical resonator”Phys. Rev. A 100 (5), 053801 (2019).