最近の研究成果

2019. 10. 09

立命館大学 毛利真一郎

公募研究では、半導体の分極場(自発分極、圧電分極)を利用した原子層材料のバレー・スピン制御を目指して研究を進めております。その要素技術として、原子層材料上に窒化物半導体を成長するファンデルワールエピタキシーの研究に取り組んでいます。最近の成果として、金属被覆ファンデルワールスエピタキシーという手法を提案し、分子線エピタキシー(MBE)によりグラフェン上にGaN薄膜を成長できることを示しました[1]

光デバイスやパワーデバイスへの応用を指向し、グラフェン上にGaN薄膜を成長する試みが世界中で進められています。しかし、窒素ラジカルによるグラフェンへのダメージに起因し、配向のそろわない微結晶が成長することが問題となっていました(図a)。我々は、成長の初期にグラフェンをGaでカバーし、その後に窒素プラズマを供給することで、グラフェンへのダメージを抑え、高配向の窒化物半導体薄膜を成長しました。特に、GaN基板を用いると、疑似ホモエピタキシーが可能になり、より平坦な薄膜が得られます(図b)。

[1] U. Ooe, S. Mouri et al, Jpn. J. Appl. Phys. 58, SC1053 (2019).

グラフェン上にMBE成長した窒化物半導体の電子顕微鏡像。
(a)通常の同時供給によるもの。(b)金属被覆ファンデルワールスエピタキシーによるもの。