室温原子層堆積法を援用した高品質微小トンネル接合の形成装置の開発

2019.06.18

電気通信大学 島田 宏

従来微小トンネル接合は、主に二層レジストを用いた電子線リソグラフィと斜め蒸着法により形成されてきました。この方法は、自然酸化でトンネル障壁を形成できるアルミニウムを電極材料に用いる接合で、その簡便さと素子構造に関するフレキシビリティで大きな成功を収め、超伝導を用いた量子ビットの実現にも役立ってきています。しかし、自然酸化で良質なトンネル障壁が形成しづらい多くの電極材料については、この方法は必ずしも有効ではありませんでした。

この点を克服するために、斜め蒸着用の電子ビーム蒸着装置の試料室に室温原子層堆積法によるアルミナ膜の形成機構を組み込んだ装置を開発しました(写真)。これにより、従来の二層レジスト斜め蒸着法を利用しつつ、様々な種類の金属をベース電極として、良質のトンネル障壁(アルミナ)を形成することを可能にしました。図は、バナジウムを電極材料として微小二重接合を作製し、低温において超伝導ギャップと帯電効果によるクーロンギャップを観測した例です。この手法の有効性を示しています。