メゾスコピック層状超伝導体における少数渦糸状態の検出と制御

2019.05.10

筑波大学 神田 晶申

第2種超伝導体では、磁場印加時に量子化磁束が超伝導体を貫く渦糸状態が出現します。個々の渦糸は量子磁束とそれを生成する渦状の超伝導電流からできています。バルクの超伝導体では渦糸は三角格子を形成しますが、サイズが超伝導の特徴的長さスケールと同程度であるメゾスコピック超伝導体では、渦糸の配置は超伝導体の形状に影響を受けます。例えば、正方形の超伝導体に2個の渦糸がある場合には、渦糸は正方形の対角線方向に並び、図(a)に示すような2通りの基底状態を取ります。

私たちはこのようなメゾスコピック渦糸状態の渦糸配置を量子力学的に制御する可能性について研究を行っています。以前は超伝導体としてアルミニウム蒸着膜を使っていましたが表面凹凸が原因で制御性に限界がありました。現在は表面が原子スケールで平坦な層状物質NbSe2の劈開膜を使っています。図(b)はNbSe2正方形薄膜に渦糸が侵入する様子を独自の方法である微小トンネル接合法を使って観察したものです。のこぎり波状の電圧変化における電圧の跳び1つ1つが磁束量子Φ0=h/2e1個1個の侵入に対応しています。今後この系の渦糸状態を詳細に調べていきます。