同位体界面を用いたグラフェンのフォノン伝導の解明

2012.03.06

大阪府立大学 有江 隆之

我々はこれまで、ナノカーボン材料の熱伝導は主にフォノンが担っていることに着目し、同位体や欠陥による熱伝導の制御について研究してきました[1,2]。フォノンの伝導はドメイン境界によっても阻害されるため、本研究では異なる同位体原子の界面を利用し、グラフェンのフォノン伝導の解明を目指しました。

化学気相成長法により合成した単結晶グラフェンでは、合成中に原料ガスを切り替えることにより、12Cからなるグラフェンと13Cからなるグラフェンを交互に組み合わせ、ボトムアップで同位体のヘテロ界面を作製することが可能です。長さ2.5μmのグラフェンにおいて界面数を変化させたときの熱抵抗測定では、界面数が3までは線形的に熱抵抗値が変化していることが確認できました。このとき1界面当たりの界面熱抵抗は、およそ125μm2K/Wと見積もられました。一方界面数が4になると、熱抵抗が劇的に上昇しました。界面数4のデバイスでは界面間の距離がおよそ600nmとなり、グラフェン中のフォノンの平均自由行程と同程度以下になることから、フォノンの擬弾道的輸送が熱輸送において支配的になったためであると考えています。

[1] Y. Anno, K. Takei, S. Akita, and T. Arie, Phys. Status Solidi RRL 8, 692 (2014).
[2] Y. Anno, Y. Imakita, K. Takei, S. Akita, and T. Arie, 2D Mater. 4, 025019 (2017).

図のキャプション
(a)12Cと13Cの界面を配置したグラフェン単結晶超格子。下図は2Dバンドのラマンマッピングスペクトルで、緑色が13C、赤色が12Cに対応する。
(b)界面数による熱抵抗の変化。界面数4で熱抵抗が劇的に上昇している。