ダイヤモンドNV中心アンサンブルを用いた温度センサの感度最適化

2019.01.28

京都大学 水落 憲和

ダイヤモンド中のNV中心は様々な量子計測への応用が期待され、その一つに温度計測があります。温度は光検出磁気共鳴(ODMR)信号から見積もられ、室温付近で5mK√Hzの感度が報告されています。温度感度はδSmin~ 1/max|δP/δS|√NSmin: 対象の最小測定可能値, P: 信号強度, N: NV中心数)と表され、NV中心数、信号の傾きを増やすことにより、感度が改善できると考えられています。一方、一般的にはNV中心濃度が増えると、ノイズ(磁場の不均一広がり,歪みの不均一広がり,均一広がり)の影響により、ODMRの傾きは小さくなります。このため、感度には最適なNV中心濃度が存在するのではないかと我々は考えました。

本研究では高濃度NV中心のODMR測定実験結果を理論解析により再現してノイズを見積もり、更に温度感度のNV中心濃度依存性を理論予測しました。汎用的な共焦点レーザー顕微鏡の回折限界による体積(0.1μm3)を検出する場合、NV中心の濃度が5.0×1017/cm3で、0.76 mK/√Hzという感度の最適値が示されました。これは既存の報告値を大きく上回り、NV中心の高い潜在能力を示すことができました。

原論文情報
"Optimization of temperature sensitivity using the optically detected magnetic resonance spectrum of a nitrogen-vacancy center ensemble", K. Hayashi, Y. Matsuzaki, T. Taniguchi, T. Shimo-Oka, I. Nakamura, S. Onoda, T. Ohshima, H. Morishita, M. Fujiwara, S. Saito, N. Mizuochi, Physical Review Applied, 10, 034009 (2018).