同位体不純物を含むグラフェンナノリボンにおけるフォノンの異常拡散

2018.12.03

大阪大学 森 伸也

同位体不純物を用いることにより,熱輸送を電子輸送と独立に制御できる可能性があります.私たちは,同位体不純物が熱輸送に与える影響を調べるため,同位体不純物を含むグラフェンナノリボンの熱コンダクタンスを計算しました.

通常の半導体では,低周波数の極限でも,音響フォノンは有限の群速度で運動します.そのため,レヴィ飛行のような異常拡散性がフォノン輸送に現れる可能性があります.一方,グラフェンの面外音響フォノンは,通常の半導体と異なり,2次の分散を示すため,低周波数の極限で群速度はゼロになります.このことから,1次の分散を示す面内音響フォノンとは異なる熱輸送特性を示すことが予想されます.そこで,同位体不純物をランダムに配置したアームチェア端グラフェンナノリボンの熱コンダクタンス K のリボン長 L 依存性を計算しました.その結果,面内モードに関しては K∝L-1⁄2なる異常拡散を示すのに対して,面外モードに関しては,計算した L の範囲では,通常の拡散 (K∝L-1) に近いリボン長依存性を示すことがわかりました.