不均一な電荷分布をもつターゲット分子からのカーボンナノチューブバイオセンサー応答

2018.11.13

大阪大学 小林 慶裕

カーボンナノチューブをチャネルとした薄膜トランジスタ(CNT-TFT)で生体分子を高感度に検出するセンサー応用研究が活発に進められています。センサー応答は、ターゲット分子の電荷がCNTの伝導度に与える効果として計測されます。そのため、CNT近傍における正味の電荷分布がセンサー応答に強く影響すると考えられます。

本研究[1]では、特定の物質と特異的に結合する分子であるアプタマーを利用したバイオセンサーで、ターゲット分子である免疫グロブリンE(IgE)の電荷分布がセンサー応答に与える効果を解析しました。IgEは分子全体では負の電荷を持ちますが、アプタマーとの結合部周辺は正に帯電しています。そのためセンサー応答は、電荷が影響する範囲(電解質濃度で決まるデバイ長)やターゲット分子濃度に強く依存します。その複雑な挙動を解析した結果、信号の反転など特異な応答の原因がターゲット分子自身の立体障害による2種類の吸着状態にあることを明らかにしました。この成果は、従来の報告にある異常なセンサー挙動を説明するとともに、CNTバイオセンサーの定量性向上や測定範囲の拡大に大きく寄与します。

[1]H. Kase, R. Negishi, M. Arifuku, N. Kiyoyanagi, Y. Kobayashi, "Biosensor response from target molecules with inhomogeneous charge localization", J, Appl. Phys., 124(2018)064502.