カーボンナノチューブにおけるトポロジカル物性

2018.08.03

慶応義塾大学 江藤 幹雄

カーボンナノチューブ(CNT)は良く知られた物質ですが、意外にもトポロジカル絶縁体(TI)になり得ます。一般にTIでは、バルクの電子状態がトポロジー数で特徴付けられます。それが真空のトポロジーと異なるとき、真空からバルク内部まで電子状態を連続的に変形することができないため、表面で一度バンドギャップが閉じます。それが表面の金属状態に対応し(バルク・エッジ対応)、量子スピンホール効果やマヨラナ粒子、等の特異な物性を示します。

CNTはA・Bサイトの副格子構造を持つ擬1次元系です。その種類は、円周方向を表すカイラル・ベクトルによって指定され、半導体か金属になります。金属型であっても、有限曲率等によって小さなバンドギャップが開きます。このような系はBDI(磁場中ではAIII)クラスのTIに分類され、トポロジー数(巻き付き数)は整数値を取ります。我々は、すべてのCNTのトポロジー数を求め、ほとんどのCNTがTIになることを示しました。その場合、バルク・エッジ対応によってCNTの端に局在した状態が現れますが、それはCNTを量子ドットに用いたクーロン振動の実験によって観測可能です。