単層カーボンナノチューブの熱伝導率精密計測

2018.06.12

東京理科大学 本間 芳和

蛍光分光イメージングによる単層カーボンナノチューブ(SWCNT)の熱伝導率計測法を開発し、構造を精密に決定したSWCNTの熱伝導率の温度依存性を明らかにしました。

 単層カーボンナノチューブ(SWCNT)は直径1 nm程度のナノサイズの物質で、理論的には高い熱伝導率を持つことが予測されています。しかし,単一SWCNTの熱伝導特性は未だ明らかにはなっていません。SWCNTの構造の指標であるカイラリティが特定された試料を用いた研究は少なく、真に1本であるのかが明確でなかったのが現状です。

我々は蛍光及びラマン分光法を用いてカイラリティや結晶性を精密に評価した単一架橋SWCNTに対して、非接触・非破壊に熱伝導率測定を行いました[1]。本測定法は、蛍光スペクトルのピーク位置の温度依存性を利用して、1本のSWCNTの軸に沿ったレーザ加熱時の温度分布を分光イメージングにより取得し、これから熱伝導率を導出する方法です。350 Kから1000 Kまでの広い範囲で熱伝導率の温度依存性を導出することができ、その温度依存性は1次の3フォノン散乱過程(温度の逆数に比例)で良く表現できることがわかりました。今回得られた熱伝導率は、4本の同一カイラリティのSWCNTで一致し、信頼性の高いものと言えます。

[1] K. Yoshino, T. Kato, Y. Saito, J. Shitaba, T. Hanashima, K. Nagano, S. Chiashi, and Y. Homma, ACS Omega, 3, 4352-4356 (2018).