位相緩和の影響下で古典限界を超えた感度を実現する量子計測

2018.04.04

NTT物性科学基礎研究所 松崎 雄一郎

量子ビットを用いた磁場センサは、生物学や工学での応用が期待されています。古典的な磁場センサでは、磁場の推定誤差δBは積算時間Tに対してδB∝1/T0.5というスケール則に従います。一方で、ノイズの無い理想的な環境では、量子ビットを用いるとδB∝1/Tという量子的なスケール則を達成することが可能です。しかし、量子ビットはノイズに対して脆弱であり、容易に位相緩和するため、現実的な環境が存在すると、量子的なスケール則の達成は難しいと考えられてきました。そこで我々は、量子ビットに対して量子テレポーテーションを行うことで、位相緩和を抑えて、量子的なスケール則を達成する手法を理論的に提案しました。量子ビットと環境の間の相互作用のために、この両者の間に相関が形成されて量子ビットの位相が失われますが、量子テレポーテーションはこの相関形成を抑制します。この手法を使うことで、古典的なセンサよりも何桁も高い感度を持つ量子センサが実現できる可能性があります。
Y. Matsuzaki, and et al, arXiv:1708.01395, accepted by Physical Review Letters