【プレスリリース】世界初の固体集熱に成功

2017.08.03

東京大学生産技術研究所 野村 政宏

熱は固体中を四方八方に拡散するため、特定の方向に熱をより多く流すことはできず、より高度な熱マネジメントの実現に必要な熱流制御技術への期待が高まっています。本研究では、シリコン薄膜に規則正しくナノサイズの円孔を配列し、熱の運び手であるフォノンが直線的に移動する構造を形成することで、熱流に指向性を持たせることが可能なことを実証しました。そして、フォノンの指向性を利用し、フォノンが一点に集中するよう放射状に空孔を配置してレンズのような構造を形成した結果、熱流を100 nm程度のごく狭い領域に集熱することに世界で初めて成功しました[1]。フォノンのマルチスケール性に制限されずに、フォノン流/熱流の方向制御が可能になり、半導体チップ内でのフォノン場制御のツールとしての応用が可能です。また、熱流方向制御技術と集熱技術は、熱制御技術に新しい選択肢を与え、激しい発熱を伴う半導体チップなどにおいて、高度な熱マネジメントにつながることが期待されます。

[1] R. Anufriev, A. Ramiere, J. Maire, and M. Nomura, “Heat guiding and focusing using ballistic phonon transport in phononic nanostructures,” Nature Communications 8, 15505 (2017).

参考URL: https://www.iis.u-tokyo.ac.jp/ja/news/2707/

原論文情報
雑誌名: Nature Communications (論文番号15505 (2017)
論文タイトル: Heat guiding and focusing using ballistic phonon transport in phononic nanostructures
著者: Roman Anufriev, Aymeric Ramiere, Jeremie Maire & Masahiro Nomura
DOI番号: 10.1038/ncomms15505