疑似乱数を使った弱反局在の汎用モデルの開発

2017.07.04

北海道大学 古賀 貴亮

アンダーソン局在の前駆状態とされる弱局在/弱反局在効果は、「拡散近似」の範囲内で、1980年代に理論、実験の両面から解明されました[1]。 1990年代にはラシュバ効果を前提としたモデルが開発され、ゲート変調による「弱局在-弱反局在転移」も実験的に確認されました[2]。その後、弱反局在効果は、スピン軌道相互作用(SOI)を探求する有益なツールとして認識され、 今後はグラフェンや遷移金属カルゴゲナイドなどの「2Dマテリアルズ」にもその適用範囲が広がりつつあります。今回、我々は、(1)拡散近似に依らず広範囲な磁場で定量的に正しく、(2)様々なSOIを自由に取り入れられ、(3)簡単なプログラムで計算可能な、汎用性が極めて高い弱反局在の数値モデルの開発に成功しました[3]。 このモデルでは2次元空間での電子(2DES)の再帰ループを酔歩運動により考えます。これらの再帰ループは個別の2DESにおける平均自由行程でスケールすることが出来るため、あらゆる2DESに対して汎用的に使用することが出来ます。疑似乱数の予測可能性をうまく用いたことが、プログラムの高速化の鍵となったと言えます。

[1] G. Bergmann, “Weak localization in thin films: a time-of-flight experiment with conduction electrons”, Phys. Rep. 107, 1 (1984).
[2] T. Koga, J. Nitta, T. Akazaki, and H. Takayanagi, “Rashba Spin-Orbit Coupling Probed by the Weak Antilocalization Analysis in InAlAs/InGaAs/InAlAs Quantum Wells as a Function of Quantum Well Asymmetry”, Phys. Rev. Lett. 89, 046801 (2002).
[3] A. Sawada and T. Koga, “Universal modeling of weak antilocalization corrections in quasi-two-dimensional electron systems using predetermined return orbitals”, Phys. Rev. E 95, 023309 (2017).