包括的な量子高感度測定の評価

2017.06.29

国立情報学研究所 根本香絵・Shane Dooley

周波数の推定では、量子的な状態を用いることで古典的な限界を破ることができることが知られている。様々な現実的な制限がある中で、どう量子的状態を使えば優位性が得られるのだろうか。本研究では、エンタングル状態を用いた周波数推定をプローブ状態の準備や測定(リードアウト)にかかるリソースも含めて包括的に比較し、どのような状況下でエンタングルメント状態が有効であるかを示した。プローブの準備にかかるリソースはこれまで議論されてこなかったが、エンタングルメント状態は古典的な状態より生成が難しいため、初期状態を操作し望ましいエンタングルメント状態を生成するのに一定の時間がかかる。この時間は、測定のくり返しにおいてオーバーヘッドとなるため、測定スキームをプローブ準備過程も含めて包括的に評価することで、現実的な統計的なゲインを見積もることができるようになる。本研究の結果は、エンタングル状態(GHZ状態)を用いた場合に、非エンタングル状態にくらべて優位性を示すために必要な 状態生成と測定にかかる時間の限界値を示した。また、この限界値はプローブ状態にかかる位相ノイズに大きく依存することも明らかになった。
Ref. Shane Dooley, William J. Munro, and Kae Nemoto, Phys. Rev. A 94, 052320 (2016)