半導体量子ドットと2次元超格子のハイブリッド構造の作製

2017.05.22

情報通信研究機構 赤羽 浩一

情報通信研究機構の赤羽浩一主任研究員らの研究グループは、自己形成法により作製される半導体量子ドットを2次元構造である量子井戸の超格子中に形成する技術を確立することに成功しました。

半導体量子ドットは電子やホールの3次元的な閉じ込め構造(0次元構造)であり、その状態密度がデルタ関数型の離散的な準位になるため、量子現象の解明に使われているだけでなく、様々なデバイスの高性能化に寄与できると考えられている半導体のナノ構造です。サイズが100nm未満の量子ドット構造は半導体の結晶成長における歪の効果を利用した自己形成法が一般的に利用されています。今回、情報通信研究機構の研究グループはこの手法を高度化し、0次元構造である量子ドット構造を2次元構造である量子井戸の周期構造(超格子)中に埋め込む構造の作製に成功しました。

得られた構造の断面の透過電子顕微鏡観察では量子ドットの構造が超格子中にきれいに埋め込まれていることが確認できます。また、フォトルミネッセンス法により発光特性を評価した結果、半導体量子ドットと半導体超格子双方からの発光が明瞭に観察されました。これらの結果は、半導体における2次元構造と0次元構造の相互作用を解明するための理想的な試料を作製する基盤技術を確立したことになります。

参考情報: Kouichi Akahane, Naokatsu Yamamoto, Toshimasa Umezawa, Tetsuya Kawanishi, Takehiro Tanaka, Shin-Ichi Nakamura, and Hideyuki Sotobayashi, "Control of wavelength and decay time of photoluminescence for InAs quantum dots grown on InP(311)B using the digital embedding method", Physica Status Solidi B 253, pp.640-643, (2016).