NV中心における単一スピン・光子・電荷の電気的制御

2017.02.15

京都大学化学研究所 水落 憲和

ダイヤモンド中のNV中心は、量子情報や磁気等の高感度センサ等の幅広い分野において非常に注目されています。我々のグループでは、それらへの応用を見据え、スピン、単一光子発生、電荷状態の電気的制御などに注目して研究を行ってきました。この観点は、スピン・光子・電荷間の量子インターフェースとしての役割を、NV中心を用いた量子情報素子が担えるのではないかという点からも重要と考えています。

電荷制御に関しては、量子情報やセンサへの応用を見据えた際、負に帯電したNV電荷状態の光照射中の不安定性が課題としてありました。例えば532 nmによる光励起では、NVと中性のNV(NV0)の割合は7:3になることが知られていました。我々はこの課題に対し、リンドープダイヤモンドを用いることにより、電荷状態の安定化(NVとNV0の割合≒10:0)に成功しました[1]。図には、電荷の非破壊シングルショット測定により明らかにしたNVとNV0の割合を示しています。

スピン制御に関しては、振動電場/磁場を用いたダイヤモンド中単一核スピンの高速位相制御の理論提案を行いました[2]。長寿命量子ビットの高速制御は量子情報処理の実現に向け、重要です。原理的には超微細相互作用定数を超えた速度(>> 1 / 165 ns)での核スピン位相ゲート速度が可能であることを示しました。

[1] Y. Doi, T. Fukui, H. Kato, T. Makino, S. Yamasaki, T. Tashima, H. Morishita, S. Miwa, F. Jelezko, Y. Suzuki, N. Mizuochi, “Pure negatively charged state of NV center in n-type diamond”, Phys. Rev. B, 93, 081203 (R), 2016.

[2] T. Shimo-Oka, Y. Tokura, Y. Suzuki, N. Mizuochi, “Fast Phase-manipulation of the Single Nuclear Spin in Solids by Rotating Fields” Phys. Rev. A. accepted.