グラフェンのひずみ効果の解明と電気伝導の制御

2017.01.11

筑波大学 神田 晶申

グラフェンは炭素原子が蜂の巣格子状に並んだ2次元結晶です。グラフェンは様々な面白い性質を持つことが知られていますが、我々はそのうちのひとつであるひずみ効果についての研究を進めています。グラフェンには、格子ひずみがあると伝導電子はベクトルポテンシャルを感じるという不思議な性質があります。その結果、ひずみの大きさや向きが空間的に変化していると、電子はあたかも磁場中にあるかのような運動をします。ひずみの空間変化をうまくコントロールすることで、高性能のグラフェントランジスタが実現できたり、様々な面白い現象が現れるとの理論予測がされています。
我々はこれまで、グラフェンに制御性良くひずみを導入する手法をいろいろと開発してきました。図a、bにその例を示します。図aでは、グラフェンと基板の間にレジストでできた周期ナノ構造を挟み込むことで、グラフェンに周期的なひずみを導入しています[1]。図bでは、宙吊りになったグラフェンを両端から引っ張って1軸ひずみを導入しています。ここでは、宙吊りグラフェンの幅を変化させることで、ひずみを空間的に変化させています。最近、ひずみを用いて、本来金属的なグラフェンを半導体化することに成功しました。今後は、高性能トランジスタの実現や新奇物理現象の開拓を目指します。

[1] H. Tomori et al., Appl. Phys. Express 4, 075102 (2011).